こんばんは。東京サラブレッドクラブの2016年度募集馬の血統分析です。

ラインナップの発表直後は、一流調教師に預かってもらえることになり価格次第で面白いと思った馬が何頭もいました。ですが2016年7月22日に募集価額が発表され、残念ながら新規入会して出資したいと思う馬はいなくなりました。

今年の東京TCの値付けは適性でしかも良心的な募集価額の馬が何頭もいるのですが、手の出る金額内でお買い得感のある馬はいませんでした。


以下東京TCの血統評価は五十音順です。

矢印付コメントは7月23日に加えたものです。



アウトオブタイム2015 美浦・木村哲厩舎

父ゴールドアリュール 母アウトオブタイム 母父Panis

1,800万円

父のイメージ通りダート。勝ち上がる可能性は高いが2勝以上するにはパンチ不足か。



アクアシャンデリア2015 栗東・昆厩舎

父オルフェーヴル 母アクアシャンデリア 母父Galileo

2,800万円

無駄に良血。1,000万円台ならお買い得。



アドマイヤエレノア2015 栗東・友道厩舎

父ルーラーシップ 母アドマイヤエレノア 母父ディープインパクト

1,600万円

全体と母母の血の連携が今一つだが開花すれば上位通用可能。



ウォンビーロング2015 美浦・加藤征厩舎

父カジノドライヴ 母ウォンビーロング 母父ストラヴィンスキー

1,400万円

カジノドライヴ産駒の近親交配馬。故障の危険が高過ぎる。



エリモピクシー2015 栗東・石坂厩舎

父キングカメハメハ 母エリモピクシー 母父ダンシングブレーヴ

7,000万円

テスコボーイとPagoPago の減点幅が小さければ。募集価格は高そうなので割高感否めなす。

エリモピクシーに合う種牡馬はアドマイヤベガ、アドマイヤボス。現役ならばルーラーシップやジャングルポケット。渋い所でサムライハート。堅実駆けの中距離馬になってくれるはず。



エンプレスティアラ2015 美浦・大竹厩舎

父ロードカナロア 母エンプレスティアラ 母父クロフネ

2,000万円

Secretariat系列ぐるみとMr.Prospector4×4、Buckpasser7×5それにNorthern Dancerのクロスを同時に作ったのがどう出るか。

9代以内に共通の祖先が複数あるので問題ないとは思うが、悪く出た場合は能力開花は難しい。

出資したいかは別として興味深い1頭で、ロードカナロアの種牡馬価値の目安になるかも。

→良心的な値付けかも。3歳前半のダート戦で嵌れば儲けが出ることもアリエール。



サクラサク2の2015 栗東・藤原英厩舎

父ディープインパクト 母サクラサク2 母父ディンヒル

3,200万円

本馬は良く言えばクラシック級のスピードの血を持ち、悪く言えばスピード偏重の馬。

ウリウリとマカヒキ全兄弟みたくスプリンターかダービー馬どちらに出るかさっぱり分からない。

愛馬のクラシック出走を望む人がハズレを恐れず出資する馬。

陣営は名より実を取ってダートを使いたいかも。

→割安に感じます。



ショウダウン2015 栗東・笹田厩舎

父ハーツクライ 母ショウダウン 母父Darshaan

2,000万円

ゼダーン6×5系列ぐるみクロスがとても興味深い。但、Lyphard4×4が邪魔して能力開花できるか疑問。



シルバーフォックス2015 栗東・庄野厩舎

父ロードカナロア 母シルバーフォックス 母父クロフネ

2,400万円

上記エンプレスティアラ2015と似た形態だが当馬はよりバランスが良い。

Nureyev系列ぐるみの中に異なる系統のスピードを収めて能力参加させたお洒落な配合。

問題となるのはBold RulerとNever BendとNureyevの共存で、三者が喧嘩して共存できない場合はお互い主張の強い血なので能力開花は難しいかも。

価格次第では新規入会して出資したい1頭。

→新規の場合、入会金負担そして分配金はゼロで月会費と維持費のみ発生する日々がデビューまで続くので、個人的にはもっと安くなって欲しかったですが、十分良心的な価格だと思います。



ジューシージーン2015 美浦・二ノ宮厩舎

父オルフェーヴル 母ジューシージーン 母父High Chaparral

2,400万円

配合的な見所は無いが、ここまで良血になればそれなりに活躍するはず。問題は投資対効果。



スタイルリスティック2015 美浦・手塚厩舎

父ハーツクライ 母スタイルリスティック 母父Storm Cat

2,000万円

ややごちゃついた感のある配合で能力開花は厳しいかも。

ルーラーシップ×スタイルリスティックの方がポテンシャルは落ちるがNorthern Dancerの主導が明瞭になり、1勝できる可能性は上がったかも。 



セレブレイションキャット2015 栗東・松永幹厩舎

父ディープインパクト 母セレブレイションキャット 母父Storm Cat

6,000万円

母母情報が無いため評価不可。



ダンスオンザルーフ2015 栗東・安田隆厩舎

父ロードカナロア 母ダンスオンザルーフ 母父シンボリクリスエス

2,400万円

BMSが全体の傾向に合っていない。



ツインテール2015 栗東・角居厩舎

父ディープインパクト 母ツインテール 母父Tale of the Cat

5,000万円

父とBMSはハズレの少ない組み合わせで、当馬はその組み合わせに加えてLyphard内の血を強調した配合。

芝1,600~2,400mで脚質に特徴は無さそう。

Storm BirdとLyphardを押し出すのであればNorthern Dancerを主導に据えるのが筋だが、当馬はHail to Reason4×5*6とSir Gaylord6×6も強く主張。

下手をすれば未勝利で終わる場合も考えられ、どう転ぶか分からないので価格と厩舎次第の馬。



デルモニコキャット2015 栗東・西園厩舎

父ヴィクトワールピサ 母デルモニコキャット 母父Storm Cat

2,800万円

父はヴィクトワールピサよりマンハッタンカフェあるいはマツリダゴッホにしたかった。



ハッピープレゼント2015 美浦・戸田厩舎

父ワークフォース 母ハッピープレゼント 母父アグネスタキオン

1,600万円

ドイツ系のマニアックな血を押さえる事に成功しているがHerbager7×5単一をどう評価するか。

8,9代目でスピードの血を多種クロスさせている(Son-In-Law欠落がスピードにどう影響するか不明)のでワークフォース産駒の中ではスピードはある方。

圧倒的にスタミナ優位だが嵌れば面白い。



ビーポジティヴ2015 栗東・平田厩舎

父タートルボウル 母ビーポジティブ 母父サンデーサイレンス

2,400万円

スタミナ不足のきらいはあるが、少ないクロスで父母の持つスピードを能力参加させた。

府中芝マイルの差しタイプ。

価格、厩舎、馬体次第ではシルバーフォックス同様に出資候補。

→2,400万円はふっかけられた感がします。出資したいと書いたから足元を見られたのか(笑)



ビジュアルショック2015 栗東・大久保龍厩舎

父オルフェーヴル 母ビジュアルショック 母父Kingmambo

2,000万円

母名の通り見た目が派手な血統で、5代以内に有名な血がずらりと並ぶ。しかしその中で能力参加を果たせるのがどれくらいいるのか。手が出ぬ。



フェアリーバラード2015 美浦・藤澤和厩舎

父ディープインパクト 母フェアリーバラード 母父Sadler's Wells

5,400万円

良血の近親交配馬でハイリスクハイリターン。脚元が無事で気性もまともならばダービーあるいはマイルカップ出走も夢ではない。

理想はフェアリーバラードが1世代後退した状態で、2015年度募集のレッドヴィクター(母レジュールダムール)の方が上か。



ブランシェール2015 栗東・中内田厩舎

父ロードカナロア 母ブランシェール 母父ディープインパクト

1,800万円

エンプレスティアラ2015と同じ形態。バランスの良さとスピードの血の豊かさが長所。

府中の芝2,000m前後で差し脚に良さのあるタイプになる可能性も。

心配事は同じくSecretariat、Mr.Prospector、BuckpasserそれにNorthern Dancerの共存問題。

エンプレスティアラ、シルバーフォックス、そして当馬と価格、厩舎、馬体次第で出資したい。

→1,800万円は安いと思います。ですが1歳3か月で390kg台の馬に対して新規入会即出資とはいきにくい。



プリンセスルシータ2015 栗東・須貝厩舎

父キングカメハメハ 母プリンセスルシータ 母父サンデーサイレンス

1,800万円

Nijinsky6×4を有効利用してキングカメハメハとサンデーサイレンスのスピードを集めた配合。

母はNasrullahを持たないためキングカメハメハとの相性は今一つ。

Nijinskyのクロスを主導にPharamondのスピードを集めた配合は決して悪いものではないので、その走りに注目したい。

おそらく募集価格は手の届かない所になるだろうが、何かの間違いで安い募集となれば即出資。

→1,800万円は安いです。キングカメハメハ産駒で社台F産で須貝厩舎でこの価格は絶対お得です。

東京サラの担当者、うっかりしましたな(笑)

だけどプロの値付けを信用します。



マンハッタンフィズ2015 美浦・小島茂厩舎

父キングカメハメハ 母マンハッタンフィズ 母父サンデーサイレンス

2,200万円

母はマンハッタンカフェの全妹で、キングカメハメハとの配合ではドイツ系の箇所に弱点ができてしまう。同じKingmambo系の種牡馬ならエイシンフラッシュかワークフォースと交配して弱点を消したい。



マンボスルー2015 栗東・音無厩舎

父ハーツクライ 母マンボスルー 母父Kingmambo

1,600万円

母母の一部に欠陥を抱えているがアイリッシュダンスを強調する意図を感じる配合。

開花は早そうで、中京のファルコンS、福島のラジオNIKKEI賞等メンバーの手薄な重賞を狙っていけばそこそこ賞金を稼げるはず。

問題は母母に内在する欠陥で、これが悪く出れば兄姉のように終わりなき長期スランプに陥ることも。



ライブリーチューン2015 栗東・松永幹厩舎

父アイルハヴアナザー 母ライブリーチューン 母父Dixieland Band

1,800万円

父母の世代が合っていない。





リーチフォーザムーン2015 美浦・藤澤和厩舎

父ルーラーシップ 母リーチフォーザムーン 母父Pulpit

1,800万円

2016年度募集馬になぜか多い、Northern Dancer、Bold Ruler、Mr.Prospector共存型。

当馬は母母母Allicanceの持つ4代目Allegedと5代目Wild Riskが主導勢力を更にややこしくしていて、持てる潜在能力を開花できず終了する可能性大。



レッドエルザ2015 栗東・角居厩舎

父ディープインパクト 母レッドエルザ 母父Smart Strike

7,000万円

おそらくこの馬が2015年産東京サラブレッドクラブの目玉商品。

この配合でなぜサンデーRH、キャロットクラブに行かなかったのか気になるが、そこは肌馬が現役時代に東京TCだったからということで気にしないことに。

スタミナに良さのあるタイプでは無いので目を覆いたくなる結果になる恐れはあるが、クラシック入着級~優勝を狙うならばこの馬。実より名を取りたい人がハイリスクを負って出資する馬。

→一口175,000円は東サラさん、かなり頑張ってくれたと思います。

キャロット、シルクでこの水準の馬をこの募集価格で応募できるだろうか(いや、できるはずがない。というか、したら混乱が起きそう)。

もし空からお金が降ってきて新規入会できるようになったらこの馬に出資します。



レッドガナドーラ2015 美浦・国枝厩舎

父ディープインパクト 母レッドガナドーラ 母父Bernardini

4,000万円

母の中で血の世代がバラバラになっていてディープを交配する意味がない。

この肌馬にはシニスターミニスターの方が面白味はあった。Seattle Slew4×4*4に加えてHail to Reason7*6*6×6*7、Round Table7*6×7*7が作られ、主なクロスがSeattle Slewの中に収まるという配合マニアがほくそ笑む馬が誕生する。



レッドファンタジア2015 美浦・鹿戸厩舎

父ディープインパクト 母レッドファンタジア 母父Unbridled's Song

3,800万円

父とBMSの傾向が合わぬ。この肌馬は4代目にLe Fabuleuxがあるので相性の良い種牡馬は少ない。



レッドメデューサ2015 栗東・石坂厩舎

父ディープインパクト 母レッドメデューサ 母父Mr.Greely

3,800万円

父母の傾向が合わぬ。シニスターミニスター×レッドメデューサの方が数段良い。 



レッドリップス2015 美浦・国枝厩舎

父キングヘイロー 母レッドリップス 母父フレンチデピュティ

1,400万円

HaloとNorthern DancerをクロスさせてMahmoudのスピードを生かすお馴染みのパターン。

ダンシングブレーヴとフレンティデピュティーは弱点が生じやすい血統で、当馬も父母各1箇所弱点ができている。

どこのクラブにもいるタイプの馬だが父馬がサンデーサイレンス系ではなくキングヘイローというのがミソで、募集価格が安くなる可能性がある。

1,000万円台の募集となれば割安感が出て投資妙味十分。

→1,400万円。東サラ担当者、ここ見てくれているのかな(笑)優しさを感じる値付けに東サラ好感度急上昇です。



レッドヴァージン2015 栗東・松田国厩舎

父ディープインパクト 母レッドヴァージン 母父Distorted Humor

4,200万円

母の持つHail to Reasonの位置が悪い。



レディイン2015 栗東・吉田厩舎

父ステイゴールド 母レディイン 母父Kendor

1,600万円

父母の傾向合わず。アドマイヤコジーンを配合したらスプリント路線のスペシャリストを作れそうだが。



以上です。

今年はレッドがクラシックを取るのではないかと思える充実ぶり。

ここ数年の体たらくを見かねてテコ入れしてきましたね。

良さそうに見えた馬のパターンが偏っているのは私の好みの問題でしょう。




「お金持ちだったら欲しい馬をバスケット買いするのになぁ・・・。」

なんて妄想をきっと一口馬主の大先輩たちもされてきた事でしょう。

以下私の今年度における一口馬主活動のシミュレーション。



募集価格が明らかになり1頭、預託厩舎が決まりまた1頭と絞られる。

そして候補を絞り込むワンテンポ前に残口僅かとなり、ややフライング気味に出資。

出資した後、馬体が緩い、管囲が細い、体重が400kgを割り込みそう、などのネガティヴ材料がフライング気味に出資した自分を精神的に追い詰めていき、翌年度の募集馬に心を逃避させる・・・。

以上。ここまでシミュレーション出来たらマズマズでしょうか。

とにもかくにも価格次第です。


【追記】

2016年度から新規優先枠が廃止され、テンションがた落ちです。

新規優先枠を使う気満々だったので、余程恵まれない限り(※)出資することはないでしょう。

既存会員さんは楽しんでください。私は遠巻きに眺めるだけになると思います。

(※)出資したい馬が安くて残口あり。普通は有り得ない状況です。